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投資家の皆さんへ
経営を学習中の皆さんへ
Up Down方式経営分析(決算書二項目増減分析)とはどういうものでしょうか。
二期の決算書を比較しているうちにある簡単なことに気づいたのです。
我々が自由に選んだ決算書の二つの項目が一年間で「増加と増加(ダブル増加)」の時
「それは『会社の成長』を意味している」という発見です。
簡単なことです。たとえば「人件費と営業利益」が「ダブル増加」の時
「その会社はその年成長した」と評価するのです。
この新しい定義のもと、(有)鈴木会計事務所が紹介しているのが「決算評価書」と言うものです。
新しい経営分析であり、二項目の選び方により、限りなく応用が出来ます。
数字や率を捨象しているので、一瞬にして、会社の動向、栄枯盛衰の今が分かります。
それは「増収増益」「増収減益」「減収増益」「減収減益」と言う経営動向を表わす4パターン
にヒントを得たものです。
㊟Up Down方式経営分析法による「決算評価書」は
「会社の景気」「栄枯盛衰」「成長」さらには「世の中の景気」が分かる
「コロンブスの卵的」かつ「目からウロコ的」分析法と考えております。
ー 二項目の選び方 ー
A決算書の損益計算書の項目は「価値の創造」を説明するものであり、「経営」の原点を成す項目が並んでいます。
そこで、「売上と利益」「利益とコスト」「コストと売上」のように、時として増減相反し、時として相乗的に増加する強い因果関係にある二つの項目をまずは机上に揚げなくてはなりません。
B次に貸借対照表つまり財産・負債・資本についてです。
「資本」は今は「純資産」と呼称されています。この純資産(資本)は黒字(利益計上)の年度では黒字の分増加します。利益が出ただけで(仮に利益が減っても)資産(純資産)は増えることを意味します。
「純資産の増加」は「黒字だったか赤字だったか」を言ってるに過ぎないのです。しかし、成長に変わりはありません。「総資産と純資産」「負債と純資産」「総資産と負債」この組み合わせによる増減判断も、(A)と同様に成長判断の意味を持ちます。
㊟中小同族企業の動向は「純利益と純資産」の二項目を分析しただけでも有効と言えましょう。
C「現金預金(キャッシュ)」や「有形固定資産(設備投資)」や、経営指標の「分子、分母に登場する項目」も分析対象に値します。
ー「決算評価書」での表現方法ー
D以上の分析を動線で表しています。成長動線『両者が増加した場合の図』「停滞動線」とは『増減に分かれた場合の図』「衰退動線」とは『両者が減少した場合の図』としています。結局このUp Down経営分析は「三つの動線」の数に依拠したものです。
「成長動線が何個あるか」と言う思考方法です。
㊟「コストの増加」も成長を意味します。
Eさらに、決算評価書では経営の三つの動線に点数(Ⅰ点、0点、▲Ⅰ点)を付加し「点数で成長を評価し報告」しています
ー経営改善の本質的意味ー
F新しいUp Down方式経営分析では経営改善とは『経営の「停滞動線・衰退動線」から経営の「成長動線」へ転換すること』と定義づけています。
新経営分析法への疑問とお答え(すでに述べた論点が重複記載されています)
一)”率や量”を無視して経営を評価出来るのか?
増減だけで経営を評価し問題点を抽出できるのか?との声も聞こえます。しかし「増収増益」がどれほどの企業秘密の露出かを考えれば分かります。
「新・決算評価書」は14個の「2項目組合せ」で「企業の今」をさらけ出します。
TKC経営指標(BAST)を見ると、単純な事実に突き当たります。二期連続黒字企業もしくはTKC基準の優良企業は、前年比較において損益計算書や貸借対照表の主要項目のほぼすべてが増加しています。
それらの企業は、「売上もコストも利益も」「資産も負債も純資産も」すべてが増加(成長)しているのです。
「経営指標(率)分析」での優良企業は、決算書二項目増減分析の「Up Down方式成長分析」でも満点となります。
「優良企業と成長企業は同じ」と言えるのです。
二)「利益の増加」と「純資産の増加」の根本的違い?
二期比較損益計算書で「利益の増減」を見ることが出来ます。今年一年間の利益と・前年一年間の利益を比較すると「増益」「減益」とに分かれます。
ところで貸借対照表の「純資産(資本)の増加」は一年間の「利益」そのものです(増資や配当などを考慮しない場合)。つまり「利益の計上」=「純資産の増加」なのです。利益(黒字)を出せば純資産は増加するわけです。利益が減っても利益が出ていれば純資産は増加・成長するのです。
Up Down方式経営分析では、「利益の増加と純資産の増加(ダブル増加)」を成長としています。経済論評では「利益が減った」時は「衰退」と言い、資本(純資産)が増えた時は「成長」と言います。「利益が減っても(減益)利益さえ出ていれば資産は増える」ため、経済論評では「留保金が増えた、成長した」と言うのです。どちらかが間違っているというものではありません。
三)”率”分析の本来目的と経営分析における欠陥?
アメリカ発祥の経営分析は、資金を貸すに値する企業か投資するに値する企業か、そのための「他社との経営の質や能力の比較評価」が中心となっています。
百社百様、業種も形態も規模も違う会社の比較分析にはどうしても「率」による分析が必要だったのかもしれません。その流れを汲み、現在の経営分析は、ほとんどが「率」分析「経営指標」分析なのです。それは、企業の「バランス分析、能力分析」と言っても良いでしょう。自己運動や動向を直接表現できない欠陥があるように思えます。
四)計算式の視点から、円運動・循環運動の視点へ?
決算書に内蔵されている計算式「売上-コスト=利益」は、出発点が「売上」で終着点が「利益」のように見えます。そこから売上を増やしコストを減らせば利益が出る、その繰り返しで企業は安泰だという立場に陥りやすいのです。
ところが、経営や経済は「コスト→売上→利益(資本)→コスト→売上→利益(資本)→・・・・」という循環で考えられます。これこそ資本の増加を目指す資本主義経済の原理です。いずれもが出発点、いずれもが目標・終着点となります。円のような循環運動は時計回りでも、反時計回りでも成立します。そこで、経営とは隣接する二項目の同時増加が成長の要件とも言えるのです。利益の増加だけではなく、売上やコストの増加もあって経営は成長したと言います。
よく論ぜられる「利益中心主義」「コスト常時削減主義」や「小さい会社論」や「無借金主義」は、経営の本論ではなく、やむをえない緊急バランス策ということに気づかされます。赤字企業が多数を占める中小企業ではこの緊急策が「経営の本論」に見えてしまいます。
五)経営はなぜ栄枯盛衰するのか?
「社長が悪い的な議論」は経済原理からくる本質論とは違います。
理由①
資本主義経済は「自由な需要と供給運動」を通して、「適切な需要と供給」を実現します。計画経済ではないからです。
言い方を変えれば企業の浮き沈み(栄枯盛衰)を通じて適切な「経済状況」を完成させるのです。
理由②
次に、社会の進歩をめぐって、企業間の生き残りをかけた「発展競争」が繰り広げられます。そのため頻繁に企業の浮き沈み(栄枯盛衰)が繰り返されます。したがって、経営にあたっては、頻繁に自社や他社のの位置や「栄枯盛衰の現状」を知る必要があります。
六)栄枯盛衰の「成長動線」と「点数表現」とは?
二項目の増減を成長動線・停滞動線・衰退動線として図式で表現することとしました。。
この動線の図式は紹介してある通りです。
この図式こそ「Up Down方式経営分析」の新しい視点です。難しいことは何もありません。
過去は「ただの過去」ではなく現在や未来に繋がる「動向」として理解するためです。
さらには、この動線の数、動線への加点により景気判断を行います。経営の通信簿としての「栄枯盛衰の点数化」に成功したのです。
七)財務諸表の本質的定義?
決算報告書と決算評価書の本質的違いについて述べておかなくてはなりません。
決算報告書→「利益の”計算機”」
利益は日々の取引では表面には出てきません。決算書のみが複式簿記による記帳を元に「利益」を我々に知らしめてくれます。したがって決算書の本質は「利益の計算機」と言っても間違いではありません。決算書の使命は、「利益の計算」と「その報告」なのです。
決算評価書→「経営の”通信簿”」
決算評価書は新しい役割を果たします。企業の直近の景気や業績、そして動向を動線と点数で評価しますので、まさに「通信簿」に値するものです。
さらに結果の「外部要因」「社内要因」「経理要因」を検討し、「未来予測」と「改善の要点」を記載することになります。
経営計画書→「経営の”成長企画書”」
経営改善は「『停滞動線や衰退動線』から『成長動線』への転換」です。したがって経営計画書は「成長への挑戦の書」と位置付けられるでしょう。
もちろん、先に述べた将来を見つめた緊急策あるいは次善の策「一歩後退的」計画も重要です。
八)利益は表面には出てこない?
「利益の本質」を知れば「経営の本質」が分かります。
例えば建設業における「見積書」に利益と言う項目はありません。また商品売買の現場には売値と消費税しかありません。しかし「儲け」という概念は売手の頭の中に願望とともに存在します。売値の「自由性」「秘密性」「不確実性」が資本主義経済や経営の本質でもあります。
つまり「利益(儲け)」は「売上」に隠れて存在します。表舞台には登場しないのです。
「利益」が秘密にされていることにより、取引はスムーズに行われ、資本主義経済は発展してきたと言ってもよいでしょう。
したがって、利益を唯一教えてくれる「決算書は経営分析の根本的資料」となるのです。利益は決算書無しには誰もが知り得ないのです。
利益は「増えた資産」とも言え、「資産成長の原因」でもあるわけです。
九)コストや費用の本質?
例えば「販売費及び一般管理費」は「税法」の解釈を考えないで大胆に経営の視点から述べますと次の四つの性質が考えられます。「家計支出」を考えてみても分かります。
1つは、儲かったからこそ支出する「利益処分的」性格です。
2つ目は、将来を見つめた「自己投資、先行投資的、」性格です。
3つ目は、他人に対する「配分」、他人に対する「投資的」性格です。
4つ目は、自己の「消費的」性格です。
いずれにしてもUp Down方式経営分析では「売上と費用」「利益と費用」の二項目のダブル増加が成長と考えられます。
ここでも2項目の増減と言う、Up Down方式経営観が有効と考えます。
十)Up Down方式経営分析で経営の最重要課題を知る?
「直前の動向、増減」というものが明日を占うものとなり、「経営者と経理と営業と製造現場など」の四者にとっての共通の言語となります。
特に経営の統括者である経営者の経営コントロールの必需品になるべきものです。
新・経営分析は、経営の異常を瞬時に示唆してくれる「体温計」のようなものでもあります。
新・経営分析は直ちに改善対策の在りかを示し、改善を求めてきます。根本的・大局的課題が認識され、取り組むべき、あるいは改善すべき行動に我々を導くことになります。
十一)経営計画の真の目的とは?
「利益の増加を目指す」は経営戦略そのものです。「利益の発生」(黒字化)つまり「利益が出た」以上の資本主義経済の発展、資本主義的企業間競争ための目標です。どれほど困難であろうと「利益の増加」をさけては通れません。
「利益が出た」と「利益が増えた」の間には、天と地ほどの差があります。損益計算書は価値の創造を描き、貸借対照表は価値の創造のための「手段」を描きます。
したがって「経営計画の真の目的」は、「利益の増加」の可能性を追求することです。さらに社会の発展のために、コストの増加(新しい行動)も併せて追及しなくてはなりません。二重三重の困難への挑戦と言えましょう。
これこそ、Up Down方式経営分析が、経営に求めるもので、新・経営分析は、黒字化以上、利益の増加という「困難」にあえて挑戦しようとする覚悟を「経営の評価の起点」にするものであります。
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★会社分析から経済を読む
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通常の決算書だけを見ていても、ただ数字が並んでいるだけでは、会社が成長しているかどうかがわかりにくいものです。
この決算評価書は11の項目を見ていきますので、部分的ではなく複合的に全体を見ることができます。
点数化されているので、シンプルでありながら、ひと目で成長か後退かがわかります。
数字の奥に隠された経営の動向を一瞬にして知ることができるため、シンプルかつスピーディな経営分析が可能です。
決算書の見方は、営業利益が出ているか否かだけで判断し、営業利益が出ていない会社はうまくいっていない、という見方になってしまう場合があります。
それは一側面から見て正しい場合もありますが、決算書から何かを得ようというときには、必ずしもその限りではないのです。
UpDown決算評価書を頭に入れておくことで、今期はコストの中でここが問題だったと1つでも気づくことは今後に必ず役立ちます。
例えば、資産の中でキャッシュが少ないと発見する可能性もありますし、粗利益が今年は悪かったなどと漠然とした弱点や問題点が3つ、4つとわかることもあるかもしれません。
そうなれば、その後の経営に変化と進化が生まれます。
我々は通常、さまざまな数字を多用し、現在の弱点をついていく場合も多いです。
しかし、そうすることで「木を見て森を見ず」のように、いつの間にか全体的な視点が失われてしまうことがあります。
UpDow方式決算評価書を使うことで、決算書の捉え方がより視野の広い見方になるため、必然的に企業の情報収集や分析をしていることにつながります。
上場企業の決算書などは公開されていて透明度も高いため、インターネットや会社四季報などを用い、話題の会社の決算書を2期分入れてみることで、景気の動向や経済の動向を知ることや分析を行うことができます。
また、5年分の分析をすることで、さらに幅広く会社の歴史や社会の経済についても感知することができ、よりレベルの高いコンサルを行うことが可能になります。
決算書の読み解き方が身についてきた会計事務所の方にもおすすめです。
中小企業の決算というのはときに、あまり変化がないように見えるときもありますが、変化がないときは「マイナス」です。
経済というのは常に成長しているものですから、横並びというのは今の資本主義社会においては減少という判断をします。
そのような見方ができてくるとより立体的に決算書を読むことができるようになり、仕事の楽しさも増すに違いありません。
経営の勉強をされている方や簿記の勉強をされている方も、このUpDown方式を使うことで、決算書の見方のポイントがわかってきます。
経理マン1年目ですと、まだこのUpDown方式決算評価書を作るのは苦労するかもしれませんが、一つ二つと決算評価書を作り上げることで力がついてきます。
経営者さんから「労働分配率はどうなの?」と聞かれても、部分的な答えだけではなく全体的な見方でも答えられるようになるのです。
そうすると、会計の勉強もさらに楽しくなってくるでしょう。会計学習の虎の巻にもおすすめの1冊です。
私は福島で40年ほど会計事務所を営み、福島県内で財務管理など経営にまつわる講師もしてきました。
私が開発したUpDown方式経営分析”決算評価書”は、今やインターネットでどこに住んでいる方でも手に取ることができます。
会計や決算書に興味がある全国、北海道から九州・沖縄まで、全世界あるいは国を越えた方がこの本や決算評価書を読んで、経営についての考えが深まった、決算書の見方が変化した、といったご感想、またときには全くの反論も大歓迎です。
ご意見や反響などいただけたら、さらなる励みとなります。決算評価書を体験していただければこの上ない喜びです。